国民が政府に不信を抱くのは当然。

外交に関して、国民が政府の方針に不信感を抱くのは当然だと思います。
なぜなら、外交とは他国との駆け引きだからです。

「敵を騙すにはまず味方から」という言葉が日本にはあります。
まさにその通りで、日本政府が相手国よりも有利に立ちたいと思ったとき、何かしらの企みがあるはずです。
つまり、相手国を出し抜かなければならないのです。それなのに、日本国民に対して「こういった方法で相手国を出し抜こうと思っています!」なんて宣言をするでしょうか。戦略の多くは、相手国にも利益があるように装って行うのが常だと思います。

例えば、アメリカ。
アメリカは「国民の意見を尊重する民主主義は素晴らしいものだ!」という建前で、多くの国をアメリカの支配域に組み込んでいきました。そして、マクドナルドやコカ・コーラアメリカ的要素をどんどんと浸透させていきます。アメリカは間接的に他国を支配したいが為に、民主主義やマクドナルドを利用したのです。民主主義はただの建前です。
その証拠に、アメリカはパレスチナの独立を拒否しています。民主主義の台頭としてアラブの春を歓迎していたアメリカ。しかし遠く離れた中東をアメリカ好みに支配するには、親米のイスラエルの方が都合いいので、パレスチナ独立には反対しています。
当然ながら、アメリカは民主主義を全面に押し出して外交をするときに、「世界中で覇権を握りたいので民主主義を利用していこうと思います」なんてことは国民に説明しません。「マクドナルドやコカ・コーラで世界中をアメリカンナイズしちゃうつもりです」なんてことも言いません。


また、別の国の例を挙げるとイギリス。
イギリスには「ユニオンジャックの矢」と言われるネットワークがあります。
世界地図を開き、ロンドン、ドバイ、インドのバンガロールシンガポール、そしてシドニーをひとつの線で繋いでみてください。
まっすぐな「矢」が一本、その地域に描かれると思います。この「矢」は偶然ではなく、遠く離れた地域でも覇権を握りたいイギリスが意図的に作ったネットワークです。ドバイは「中東の金融センター」と呼ばれますがその背後にはイギリスの金融街シティの助力があります。また、インドのバンガロールには情報伝達の為の大容量光ファイバーがあり、シンガポールとロンドンとの間には「オープンスカイ」航空協定があります。それによって、ASEANの窓口となっているシンガポールから人をロンドンに取り込み、アジア全体を支配しようと考えたのです。こういったインフラなどの「埋込み装置」が外交で大きな役割を果たします。

以上のように、外交の上手い国はおおっぴらに戦略をアピールせずに地下水脈のようにその権力の及ぶ範囲を拡大していきます。
「敵を騙すにはまず味方から」、これほど国際関係において当てはまる言葉はないと思います。
なので、我々国民がすべきことは、世界情勢や国際関係をしっかりと学び、メディアの情報に惑わされないで、自分の判断で今の日本はこういう状況にあるからこういう政策を目指しているのだろうと考える必要があると考えます。

今回は寺島実郎さん著作「世界を知る力」を読んだ感想でした。
詳しく知りたい方はぜひ読んでください。「ユニオンジャックの矢」や日本の現在の立場などがより詳しく書いてあります。